平塚柔道物語その16
平塚柔道協会 会長 奥山晴治
2007年10月1日

16.平塚柔道物語・その16

柔道特待生で横浜高校柔道部主将の坂崎光太

 平成14(2002)年、坂崎光太が大野中学の柔道部に入部したのは、二人の兄が柔道をやっていたからであった。

 その後、柔道部顧問の真田教師が大野中学校から浜岳中学校に転勤になった。その真田教師を追いかけ、半年遅れたが転校する。 坂崎は柔道の選手として、強くなりたかったのだ。真田は、彼の熱意に応えて、自分の得意な内股を伝授する。

 坂崎はすばらしい運動神経の持ち主であった。中学2年の夏の県大会では73kg級に出場。 だが2回戦で桐蔭学園の室田という選手に敗退してしまった。室田選手の多彩な技をこなす勝ちっぷりに、坂崎は感動し、 彼を今後の目標にした。

 続く冬の大会では順調に勝ち進み、決勝で念願の室田と対戦。坂崎は大外刈でまず有効を取ったものの、 その後内股で技ありを取られ、惜しくも準優勝となった。

 中学3年の夏の大会では準決勝まで行き、関東大会の出場権を得る。ところが、関東大会では思わぬハプニングが起こる。

 1回戦目、坂崎はコチコチに固くなってしまい、判定でやっと勝ったという状況であった。そんな坂崎を真田は外に呼び出し、 大会のプレッシャーに負けていた彼の魂に気合を入れた。

 真田の手が彼の頬を叩く。そのことが彼を一変させた。緊張感が取れ、本来の力が湧いてきたのだ。 2回戦は埼玉の代表を小外刈に、3回戦は栃木の代表を大内返しで1本勝ち。そして準決勝となった。 相手は東京の鈴木という選手(その後全国大会で優勝する)であったが、惜しくも1本負けとなった。 鈴木は決勝で神奈川の室田を破って優勝した。

 関東大会の表彰台に、鈴木、室田、坂崎の3人が並んだ。

 その坂崎に真田は言った。「中学から柔道を始めて、こんな大舞台で3位になるということはすごい快挙だ。 良く頑張ったな」と。坂崎は先生に初めて褒められた。頬をさすりながらも、顔は涙でいっぱいになった。 うれしかった。先生ありがとう。浜岳中学に思い切って転校してきて良かった、と心から思った。

 その後、坂崎は中学校の柔道の実績を認められ、柔道特待生として横浜高校に入学する。現在同校3年生。 柔道部の主将。81kg級で県下第2位の実力者である。さらに今回、高校での柔道の実績が認められ、 いくつかの大学から柔道特待生として迎えられようとしている。

親思い、心のやさしい、「頑張り屋」がぴったりの坂崎君。今後の活躍を期待したい。


第29回関東中学校柔道大会(平成16年8月)
千葉ポートアリーナでの坂崎光太選手


(HIRATUKA 市民ジャーナル 連載記事より抜粋)

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